廃食用油は、戦後間もない食糧難の時代より回収が行われておりました。用途も幅広く、「リサイクルの優等生」とも言われております。かつては全国に数百あった廃油回収業者も、プラザ合意(円高)やバブル崩壊を境に事業環境が急速に悪化し専業者が少なくなり、リサイクルシステム崩壊の危機を迎えました。
しかし今では、全国各地で回収業者が結集し、国や自治体の理解を得ながらリサイクルシステムを維持することができております。全国の廃食用油回収業者は、廃棄物処理法等の遵守や、自主ガイドラインの制定・遵守、関連業界とのコミュニケーションにより、多くのお客様からの信頼を得ております。
飼料用油脂(原料)
主に養豚・養鶏(ブロイラー)用配合飼料の原料として、飼料のカロリーアップ等の目的で使用されます。日本国内で回収される廃食用油の約70~80%が飼料用にリサイクルされております。
大曲油脂が回収した廃食用油は、そのほとんどが飼料用油脂としてリサイクルされております。
工業製品(原料)
石けんや新聞用インク、タイヤの原料等、様々な工業製品に生まれ変わり、わたしたちの生活を支えています。日本国内で回収される廃食用油の約10~20%が工業製品の原料としてリサイクルされております。
大曲油脂が回収している一部の廃食用油が、工業製品の原料としてリサイクルされております。
石油代替燃料
大型ボイラーでの廃食用油の直接燃焼や、バイオディーゼル燃料等に加工され、貴重な熱源として利用されています。日本国内で回収される廃食用油の約10%が燃料用にリサイクルされております。
最近では、ジェット飛行機への燃料利用でも注目されています。
一般家庭からの廃食用油回収・リサイクル状況
日本国内では、飲食店等から排出される廃食用油のほとんどが回収・リサイクルされていますが、一般家庭から排出される廃食用油は、そのほとんどがゴミとして捨てられています。
一般家庭から排出される廃食用油は「一般廃棄物」となるため、各市区町村が責任をもって処理しなければなりません。これまで各市区町村では廃食用油をリサイクルできる施設がなく、ゴミとして処理せざるを得ませんでしたが、バイオディーゼル燃料等の普及により、少しずつ回収・リサイクルがすすむようになってきています。
廃食用油は、下水に流すと「オイルボール」(油とゴミの固まり)となり、配管の目詰まりや河川・海洋汚染の原因となります。固めて捨てるか、回収・リサイクル拠点がある場合はそちらへ出すように心がけましょう。
なお、飲食店や流通業(スーパーマーケット、コンビニ等)、食品工場など業務の過程で排出される廃食用油は、事業の規模に関わらず「産業廃棄物」となります。多くの廃油回収業者は、産業廃棄物処理業(収集運搬・処分)の許可を持っており、許可エリア内にて廃油回収・リサイクルを行っています。